馬鹿の独り言

物忘れの酷い俺のためだけのブログ

【映画感想】なのはReflectionから振り返るコミュニケーションの大切さ

2012年夏

俺は、映画館で号泣するという初めての経験に戸惑っていた。隣の席がズルズル五月蝿いと思ったら、目が合ったオッサンも号泣してた。

あれから5年。

ついに、待ち望んでいたこの時が来た。

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魔法少女リリカルなのは Reflection 公式サイト

早速見てきた。すげー良かった。

 

リリカルなのはシリーズは、俺に「コミュニケーションの大切さ」を教えてくれる。

世の中で発生する問題には、大きく分けて2種類ある。

①技術的に解決できない問題

何か解決すべき課題があったとして、属する社会にそれを実現できる手段が無い場合である。フェイトのお母さんことプレシア・テスタロッサがぶち当たったのがこの類の問題だ。「死者の蘇生」。

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これについてプレシアが取った手段は、「アルハザード」という高度な技術を持つとされる古代文明を探し当てれば、そこに答えがあるという全く根拠の無い夢想だった。とはいえプレシアも元は善人なので、実行したプロジェクトは、人口生命体「フェイト・テスタロッサ」を造り、ロストロギアを集めさせるという非常に小規模なものだった。無闇に周囲に大損害を与えるようなことはしていない。PDCAも、基本的にはフェイトちゃんイジメるだけだったしな。一応は科学者なのに、このプロジェクト管理の杜撰さは如何なものなのか。

現時点で技術的に不可能な問題についての対応は「新技術の開発に突き進む」「諦めて抜本的にアプローチを変える」の2つに分かれる。プレシアは科学者故に前者を選ぶも、一向に埒が開かずに擦り切れてしまった。その結果として、フェイトちゃんは後者の道を選び、なのは達と共に新しい世界へと足を踏み出したのが「なのは1st」の結末だった。

②技術的に解決できる問題

社会に解決する為の技術は存在していても、問題の当事者にはその技術が無い場合がある。はやてちゃんの従者ことヴォルケンリッターがぶち当たったのがこの類の問題である。

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彼女らの目的は「八神はやてを闇の書の呪いから救う」だったものの、それを実現する手段として、過去に得られた少ない情報から「強い奴らを片っ端からブン殴って闇の書を完成させる」という間違った選択をした。彼女らが犯した失態は、取り返しがつかない程に大きい。

1、善意のなのは達と話をせずに安易に敵対したこと

2、なのは達であれば技術的に解決可能な課題であったこと

3、なのは達の方が課題に対する情報量が多かったにも関わらず自分達の情報のみで判断したこと

4、プロジェクトへの疑問を潜在的に抱えながらも他に手段が無いと思い込んだこと

なのは達がヴォルケンリッター以上の戦力を持ち彼女らを凌ぎ切ったことと、彼女らの敵意をいなす程の大きな善意を持っていたからこそ「ナハトヴァールを消滅させる」という真の課題に到達し、解決することができた。ヴォルケンリッターのみであれば、八神はやては間違い無く死んでいたし、ナハトヴァールが解き放たれて大惨事を引き起こしていたのは間違いない。仮に初期の段階で「自分達には無理です力を貸して下さい」と土下座でもしていたら、あんな派手にドンパチする必要も無かったし俺が映画館で号泣することもなかった。

 

プレシアのような技術の壁は仕方ないとして、ヴォルケンリッターのような問題は世の中にありふれている。問題についてよくよく聞いてみると「コミュニケーション不足」が一番の原因であることが本当に多い。会社で働いていると特にそうだ。これは世間でいうコミュ力とかそういう安易な話ではなくて、もっと根本的な人生に対する向き合い方とか、そういうレベルの話にまで及ぶ大きな論点だと思う。

さて、今回の「なのは3rd」ではどうだったか。

異世界からやってきたキリエちゃんは、まぁ短絡的でアホの子である。

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上記のヴォルケンリッターと同じで、自分だけでは解決できないという認識があるにも関わらず、全部自力でやろうとした。ましてや最初からなのは達に助力を求めるのが必要だと分かっていて、はやてちゃんに「話はとりあえず事務局で聞くから落ち着いて!」と言われても聞く耳を持たず、無用な喧嘩をふっかけては周囲に大損害を齎した。トラックやショベルカーを盗まれた会社の経理の心痛が偲ばれる。俺なら発狂してブチギレてPCを強制シャットダウンする。そんなアホの子は一発殴って言い聞かせるのが有効なので、なのは様も良い仕事をしていた。極太ワイヤーで縛り上げて晒された素肌の肩からアスファルトに叩きつけて引回す。相変わらずエグかった。でも下着が緑で可愛かったので許す。

お姉ちゃんのアミタは、戦い方が本当に豪快で愛に溢れた素晴らしい女性だった。ハードコアだった。

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特筆すべきなのは、彼女が最初から、なのは達に友好的な態度を出してきたことである。力だけ有り余っても社会的に追い詰められた人間が、とりあえず暴力を振り回して八つ当たりをすることはよくある。営業成績が芳しく無い営業部長が部下に当たり散らすのは、サラリーマンなら一度くらいは遭遇したことがあるだろう。その点アミタさんは、ヴォルケンリッターやキリエちゃんとは違い切迫した感じが無かったので、そういう大人の外交をする余裕があったのだと思う。彼女が取ったのは最適解であり、作中でもキリエちゃんに「お姉ちゃんはいつも良い子なんだから」と指摘される通り優等生的な態度と言える。まぁ暴れる妹に協力的な態度を示さず「皆さんにご迷惑だから大人しく帰ろう」の一点張りだったのは正直どうかとは思った。お父さんが死にかけて故郷も滅びそうで、それをどうにかしようと頑張っている妹に対してそれは無いだろうと。

それはそれとして、今作には、今までの劇場版なのはシリーズでは無かった種類の存在が出てくる。

「悪人」である。

1stのプレシアは根本的には善人だったし、2ndのヴォルケンリッターは言うまでもなく善人だし、ナハトヴァールは人格の無いプログラムなので「悪」とはいえない。

それに対し、今作のキーキャラである「イリス」はもうマジでヤバい。

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どんな事情があったのかは来年公開の後編で語られるだろうし、プレシアと同じで根っからの悪人ではないのかも知れない。とはいえ彼女が今作で行ったのは「幼少期からキリエを長年騙し続けたこと」「キリエに偽りの希望を与えて裏切ったこと」の時点でかなり重罪だが、何と言っても「ユーリに復讐する為に彼女以外の人類を皆滅ぼす」という全く脈絡の無い意味不明な復讐方法だ。なんなんだコイツはバカなんじゃないのか。やたら胸元開いたエロいジャケット着やがって。ドキドキするぞ。

ヴォルケンリッターやキリエちゃんは、コミュニケーションをしっかり取ればわかりあえる相手である。しかし、こういう人を騙すような輩は、コミュニケーションを取っても無駄である。この手合いはとりあえず力で捻じ伏せて、無理やり交渉の場に引き摺りだすしかない。そこら辺はなのは様が得意なので、後編で頑張ってもらおう。

 

今作は、今までの劇場版なのはに比べて戦闘シーンが豪快で過激だったので、全編通してワクワクドキドキしっぱなしだった。フェイトちゃんとリンディ提督がキチンと家族になったシーンも、本当に感極まって素晴らしかった。俺もフェイトちゃんの言葉を胸に刻んで、これから生きていこうと思う。

とりあえずブルーレイを楽しみにしつつ、後編を待つ。