馬鹿の独り言

物忘れの酷い俺のためだけのブログ

「君の名は。」を観たり読んだりした話

www.kiminona.com

 

最近、引越しをした。

引越しをしてからなかなかネットが開通しなかったために投稿するのが遅くなってしまったものの、8月31日、話題になっている「君の名は。」を観てきた。新海誠作品といえば特に有名なのは「秒速5センチメートル」だが、アレは酷かった。俺は、鬱作品に対して免疫が無い。新海誠作品で2人の男女の関係を描くのはこれが3作目と思われるものの、「秒速」が鬱すぎて嫌になったため、今回もあまり気乗りはしなかった。とはいえ話題になっていたことと、せっかく一緒に行こうと誘われたので、行ってきた次第である。

映画を見た後に感想を書こうと思ったけど引越し直後でネットが繋がらず、見終わった後の気持ちを忘れそうだったので小説も読んだ。ついでに番外編も読んだ。まぁなんだ、それだけ良い作品だったということだ。

 

個人的な感想からいえば、とりあえずハッピーエンドっぽく終わってくれて良かった。

人との縁とは、呪いである。

本作では結局2人は最後に再会できて良かったものの、再会するまでの間、胸に大きな寂寥感を抱えたまま日々を過ごしていた。瀧くんは5年間、三葉に至っては実に8年間だ。もしあのまま再会できなかったなら、2人がどう折り合いをつけるかはわからないものの、一生その寂しさを抱えたまま生きていくことになっていたと思われる。人との衝撃的な出会いとか、特定の人への強い想いとかそういった感情は、成就しない限りその人を縛り続ける。もし諦めて別々の人生を歩んでいって普段は忘れたと思っていても、ふとした時に思い出してはハードボイルドな気持ちになったりする。それが大人というものなのかもしれないけど、現にそういう風に日々を生きている俺としては、そんな体験や感情はもう2度と御免だ。そんな俺のダメな方の琴線を見事にボディブローしてくれたのが「秒速」だったので、もうあの作品には触れたくない。でも今回はハッピーエンドで終わってくれたので、こうしてじっくり感想を書く事ができている。繊細な俺をもっと労ってほしい。斜に構えるのは不得意だ。

客観的なことをいえば

設定は陳腐だしこれといって複雑な点も無い、特筆することのない内容だった。小説も読んだけど、まず場面が目紛しく変わりすぎてよくわからない。観た人はそのシーンを思い出すことができるけど、小説を読んでから映画という順番ではちょっと厳しいんじゃなかろうか。あ、でも番外編は良かった。映画では瀧くんin三葉シーンが多かったものの、三葉in瀧くんが三葉の地元でどう過ごしていたかは断片的にしか出てこなかったので、その点で充実していた。他にもテッシーやお父さんの背景とかも垣間見ることができたのでスッキリした。

本筋自体は凡百な内容である本作がこうして俺を含み方々から好評価を受けているのは、やはり絵と音楽の力が大きいんじゃなかろうか。新海誠作品は以前から絵については高い評価を受けており、本作でもそれは遺憾無く発揮されていた。糸守町や御神体のある山頂の風景はとても綺麗だったし、見せ場である彗星の描写も素晴らしかった。RADWIMPSの音楽もよく合っており、今度折を見てアルバムを借りてこようと思っている。

やはりこの作品は頭でぐちゃぐちゃ考えるよりも、まずはアートとして没頭してみるべきだと思う。実際ツッコミ所は非常に多くて、俺は映画を見ている途中で考えるのをやめた。久々に非常に満足感の高いアニメ映画だった。酔っ払った拍子にブルーレイとか注文してしまう可能性がある。気を付けよう。

 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)