馬鹿の独り言

物忘れの酷い俺のためだけのブログ

架神恭介/完全教祖マニュアル

 

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

完全教祖マニュアル (ちくま新書)

 

 

教祖というのは、非常に楽しい。

愉快だ。

自分の何気ない一言が経典として崇められ

勝手に絶対遵守の法とされ

俺は罰するつもりなど少しも無いのに

違反者は、信者たちが「自主的に」「善意から」粛清してくれる。

あの言い様もない背徳感は、一度経験すると忘れられるものではない。

かつて一瞬だけ教祖として君臨したことのある俺であるが

最近は、あんまり教祖らしくない人生だ。

ただの労働者だ。

サラリーマンだ。

あの頃の栄光を取り戻したい俺の網膜に太陽光線の如く降り注いだのが、この本。

 

中身は、著者曰く「宗教を作る側から分析した本」とのことであり

実際、世界の3大宗教である

「仏教」「イスラム教」「キリスト教

をはじめとする様々な宗教を

宗教において欠かせない特徴(神の定義とか)から分析し、比較・検討を行ったものだった。

そういった観点から特に興味深かったのは、イスラム教キリスト教の違いだった。

この2つは、元々ユダヤ教を源流としており

崇める神は、同じ「ヤハウェ」である。

しかし、その預言者を誰とするかによって、その教義の中身がまるで違ったものになっている。

ここら辺の違いが正直よくわかっていなかったので、自分の考えを纏めるのに非常に役立った。

ついでに、仏教というのが、前者2つに比べてどれほど考えが違うのかも少しわかった。

儀式など行動の節々に似通った箇所もあるようで

もう少し突っ込んで知りたくなるような要素が満載だった。

 

宗教というのは、最も単純に表せば「他人を信じさせること」である。

根拠の有る無しは置いといて

自分の主張を相手に信じさせれば、その時点で、自分は信者を獲得したことになる。

俺は現在、職場にて

「ランニングシューズ通勤をすべきである」

「定時帰りは、止むを得ない場合を除いて、徹底して守るべきである」

という教義を日夜布教している。

恥ずかしながら、未だに信者は獲得できていない。

俺が教祖として返り咲き、甘い汁だけ吸って生きていくためにも

このマニュアルを手に、より一層布教活動に励むつもりである。